分電盤にある安全装置「ブレーカー」の仕組み
屋内配線がは分電盤でまとめられているというのは、前回少しお話しいたしました。
電気の管理所「分電盤」について、もう少し細かく見てみましょう。
分電盤には3種類のブレーカーがある
分電盤に取り付けられている安全装置が「ブレーカー(遮断器)」です。
このブレーカーには「流れる電流が基準よりも多い」
「電気が本来の回路外へ流れ出している」などの異常があるとき、
電流を止めて危険な事故をふせぐ役割があります。
以前は「ヒューズ」と呼ばれる使い切りの部品が使われることが多かったものの、
今では「入」「切」をつまみで切り替えるスイッチ式が主流です。
分電盤に取り付けられているブレーカーは家庭のコンセントから近い順に
「安全ブレーカー」「漏電ブレーカー」「アンペアブレーカー」の3種類。
ただし近年では漏電ブレーカーとアンペアブレーカーが一体型になっている場合や、
アンペアブレーカー自体が設置されていないこともあります。
安全ブレーカー(配線用遮断器・回路ブレーカー)の役割
安全ブレーカーは「各部屋に規定以上の電流が流れたとき、安全のために電流を止める」役割があります。
コンセントやタップに「1,500Wまで」「100V・15Aまで」といった表記が書いてあるものがありますよね。
これはコンセントなどの機器が15Aまでの電流を想定しており、
これ以上の電流が流れるとコンセント部分が過熱してしまうおそれがあるからです。
屋内配線も同様に15~20A前後の電流が流れるとき生まれる熱に耐えられるようできています。
一方でこの電流を超えると配線が溶けたり、最悪発火してしまうようなおそれがあるのです。
電化製品の故障などでこうした想定外の電流が流れたときでも危険な状況が続かないように止めるのが、
こうした安全ブレーカーの役割といえるでしょう。
漏電ブレーカー(漏電遮断器)の役割
漏電ブレーカーの主な役割はその名の通り「電気が回路外に漏れていることを発見し、迅速に止めること」です。
電流は1周する回路があることで流れます。
このときすべての電流が設計通り回路内を通っていれば、「行き」「帰り」の電流が同じ量になるはずです。
しかし何らかの理由で電化製品の表面に電圧がかかり、地面との間に電流が流れてしまうことがあります。
これが「漏電」と呼ばれる現象です。
地面に流れる電流は分電盤を通らないため、そのぶん「行き」「帰り」の電流に差が生じます。
この差が生まれたことを検知し、安全を第一に電気を止めてしまうのが漏電ブレーカーの役割になります。
なお漏電ブレーカーの機能を最大限に果たすには感電が起こる前、
つまり漏電した電化製品に人が触れる前に電気を止める必要があります。
そこで電化製品の表面と地面をつなぎ、漏電時に電流を流す役割を持つのがアース線です。
アンペアブレーカー(サービスブレーカー)の役割
アンペアブレーカーには「契約した電気容量以上の電流が流れることを防ぐ」役割があります。
電力会社は各家庭の契約容量に応じて電気供給網を設計しています。
たとえば家庭に近い変圧器にも供給できる電気容量の種類があり、
周辺の契約状況によって取り替えることもあるのです。
もしも計画容量以上の電気供給が続けば電圧が不安定になり、各機器の故障などにもつながりかねません。
そのため契約電気容量を何らかの理由で超えた場合、
電気供給を止める仕組みとして設けられているのがアンペアブレーカーです。
アンペアブレーカーはスマートメーターに置き換わりつつある
電力自由化とともに、時間帯によって電気料金が変わるプランなどが普及し始めました。
このようなプランは時間と使用量をリアルタイムに計算する必要があることから、
従来の単純な使用量を記録するメーターからスマートメーターへの切り替えが現在進みつつあります。
スマートメーターでは現在の使用量を監視することも可能で、
契約容量を超えると電気使用を一定時間制限する機能が付いています。
したがって、分電盤にアンペアブレーカーがない家庭も増えてきています。
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- 2020/10/16